初心者も快適にシャワークライミングができる沢
マスキ嵐沢は、沢登り講習にもよく使われる初心者向けの沢です。
全ての滝を巻かずに登ることができ、暑い時期はもちろんのこと、多少寒くともキャーキャー言いながら頭から水を浴びてシャワークライミングができる、楽しくてコンパクトな一本です。
ヒルもいないよ!
・・・多分。(2024年現在)
☆全行程、ゆっくり遡行しても6時間未満
☆ヤブ漕ぎなし!
集合場所はこの駐車場。
ここから大滝キャンプ場を目指す方向に、登山口まで約1キロ弱を歩きます。
中川駐車場
しかし、大幅にショートカットをするワザがあります。
大滝橋登山口のゲート手前に、4台ぐらい?停められるスペースがあります。
週末はどうか分かりませんが、これまで平日に来たこと5回目の今回、初めて他の車がいました。
ここからなら入渓点まであっという間!
ゲート前までは、「ここ入っていいの?」と思うような狭いガタガタ道を走りますが、臆するなかれ。
駐車スペースから入渓点まで、おおむね沢沿いを歩きます。
初めて来た時は、水のきれいさに驚きました。
正直に申し上げますと、丹沢の水なんてたいしたことないだろうとナメていたのです。
その節は、大変申し訳ございませんでした。
2023年、駐車場から歩いた時
この透明感たるや、丹沢ってこうだったのかと驚く。
今回の沢は、Nおじさんが「紅葉へ行こうよう」と言ってみたかっただけの、マスキ嵐沢でシャワークライミング&「さか間」で地酒シャワープランです。
「さか間」は大倉バス停(大倉尾根、別名バカ尾根のスタート地点)向かいにある蕎麦屋で、ここで一杯やりたいがために、マスキに行っているようなものです。
この沢の前日も沢に入っていた私は、濡れたままの沢靴で歩き始めました。
Nおじさん「沢靴は、週一回までですよ!」
先日は、今年二度目の骨折をした仲間に、骨を折るのは年に一本までと言っていました。
ゲートから歩くこと40分程度で、あっという間にマスキ嵐沢の出合いに到着します。
その手前から入渓してもいいっちゃいいですが、結局堰堤に阻まれるので、ここから遡行を開始します。
さらに少々登山道を登ると、鬼石沢への入渓点があります。
鬼石沢は11月下旬に遡行したことがありますが、そんな「ぬれたくない祭り」の沢登りでも、ほとんどぬれずに登れたと思います(あまり印象に残っていない)。
普通に登山道を歩いているだけでも、山で使う道具は高価です。
それに加えて、高速道路料金もかかります。
ましてやロープやクライミングギアにまで手を出すと、金がかかって仕方がない。
そんな話をしながら遡行します。
私「お金のかからない趣味って、なんでしょうねー」
N「妄想ですね。妄想はお金がかかりません。」
とか言っている間に、快適に登れる小滝が続々と現れます。
ど真ん中から登って、たっぷりシャワーを浴びてやるぜ!!!
パッキングではチャックシール付きの袋が何かと役立ちますが、沢の場合は防水のために、より多くの袋が必要になります。
Amazonのオリジナルの袋は、たくさん入っていて安いので、大変お世話になっております。
最初のうちはスーパーでジップロックを買っていたのですが、枚数を使うとお値段もバカにならないので、あれこれ探していて見つけた逸品です。
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命からがら登りました、の演出。
カエルを激写するNおじさん。
こんな子でした。
カエルは好きですが、こいつは毒があるので食べません。
あ、好きっていうのは、食べ物としてではありませんよ!?
大きめの滝が2か所ほどあったかな?
でも、ロープなしで登れます。
初心者や未経験者の場合は、それなりに高さがありますので、ビレイしたほうがよいでしょう。
こちらは2段15mの滝。
高い所が苦手なNおじさん。
水があると調子が出るので、フリーで登ります!
でも結構怖かった。
たっぷりシャワーを浴びて体が冷えたので、そば茶で一服。
ついでにおにぎりを食べてエネルギー補給をしていると、途中で追い越した二人連れがやってきましたが、よく見ると、うち一人はハーネスも着けていません。
そのぐらい気軽に行ける沢ということです。
沢に行くなら必ずロープを持参すべし
しかし、だからといって、ハーネスやロープなしで行けるかと問われると、そうだとは言い切れません。
何があるか分からないのが沢です。
昨年はこの沢に4度も来ましたが、うち1度は、ロープのおかげで助かったという場面がありました。
本当にマスキはコンパクトだし、何度も来ているし、ソロでロープなしでも大丈夫だなーなんて思っていたのですが、そういうことじゃないんですね。
なぜロープが役に立ったのか、そのシチュエーションはこうです。
時は11月、沢登りするには寒い季節で、濡れたくない大会が繰り広げられたマスキ嵐沢。
とはいえ、やっぱりテンションが上がって、キャッキャ言いながら滝をシャワークライミングしていました。
しかし、あくまで濡れたくなかったのか、一人が滝を巻こうと、脇の急斜面を登り始めました。
先行して滝の上まで登り切っていた私は、上からその様子を見て、
「これは絶対に行き詰るな」
と思っていました。
斜面というものは、下から見上げると登れそうに見えても、実際に取りついてみると大変に急斜面で進退窮まるということがよくあります。
案の定、にっちもさっちもいかなくなって、私がロープを投げて救出しました。
ロープとハーネスは、あなたと私を守る命綱です。
詰め~下山
コンパクトであるがゆえに、楽しいシャワークライミングはあっという間に終わってしまいます。
水の流れが途絶えてからはいくつもの分岐がありますが、本来のルートは最後に涸滝があり、ザレた斜面を経て権現山への稜線に到達します。
もちろん過去にはそのルートも詰めていますが、地形図を見ながら「なんかここ行けそう」と詰めてみるのも、面白いものです。
そういうことをやっているので、マスキの詰めの斜面は、結構な種類を登りました。
で、今回は最後の涸滝を通らないまま、ぬるっと権現山の頂上へ。
この山頂は一般登山道上にないこともあり、ここで人に出会ったことは一度もありません。
沢装備を解き、のんびりランチしたり一服したりできるわけですが、
Nおじさん「マスキの最初の一滴を撒いてきました」
どうやら用を足してきたようです。
山頂によくあるような標識は、ありません。
1138mって、廻り目平より低い。
さて、時間はたっぷりあるし、のんびりランチでもしよう!
で、毎回出てくるこのマット。
どこに行くにも、どんなタイプの山行でも、持って行かないことがない。
どんなに雑に扱っても大丈夫だし、お値段お手頃だし、お好きなサイズにカットもできるし、超軽量だし、必ずバックパックの背面に入れています。
本日のランチは、実家で残り物を詰めてきたお弁当。
50になっても、母の手作りの料理というものは、しみじみと美味しいのです。
行き倒れているような、Nおじさんのアックス。
ブラックダイヤモンドのバイパー、アイスクライミング用の品です。
氷壁を叩くと「ケーン!」とはじかれるらしく(Nおじさんの感想)、泥を叩くことになりました。
バイパー「氷だけと聞いておりますが・・・ピュアアイスと聞いておりますが・・・」
Nおじ「うるせー!日本じゃこうなんだよ!」
いいか?押すなよ?押すなよ?
押すなよ?
下りは、西丹沢ビジターセンターを目指して登山道を下る方法もありますが、もっぱらそのまま南下するルートを取っています。
山頂から丹沢湖を左手に見つつ金網の左側を歩くと、明瞭な踏み跡があり、そこからのルートなら車を停めた場所に降りてくることが出来ます。
以前は多少のルートファインディングが必要でしたが、今年は黄色いテープが懇切丁寧に貼ってあり、何も考えなくても降りられそうでした。
どうも御親切に。
アザミで働くマルハナバチ。
もふもふでかわいくて、我々の間では、沢のアイドルです。
下山路は踏み跡も不明瞭で、かなり急斜面もありますが、黄色いテープのおかげで迷わずに降りてこられるでしょう。
道路が見えてきました。
道路に出て右に進むと、この分岐に戻ってくるわけです。
そして中川駐車場に停めた車を回収に戻ります。
全身びしょぬれになりましたが焚火はないので、さすがに着替えたい。
このポップアップテントは着替えにも使えますし、簡易トイレにもできます。
車に常に積んであります。
担いで持ち運ぶわけでもないし、命にかかわるギアでもないので、似たような商品から安いのを選んでもかまわないと思います。
おばあちゃんち?いえ、大倉山の家です
着替えを済ませて、やってきました「大倉山の家」。
素泊まりのみで、一泊3,000円。
バカ尾根に登るときに、横目で見ていたおうちではありましたが、こんなに何度もお世話になろうとは・・・。
電話で予約する際、「はい、高橋です」と言われますが、間違い電話ではありません。
田舎のおばあちゃん家に行くつもりで、泊まってください。
箒杉の中川駐車場からは、車で50分程度あります。
途中、コンビニでお酒や朝食を買い出ししたいので、道中の左側にあるコンビニに寄りたいところ。
泊まるお部屋はこんな感じ。
平日にしか泊まったことがないため、いつも貸し切りで、この部屋に寝かせてもらっています。
いわゆる田舎の大きなおうちで、空いている部屋に寝かせてもらうような感じです。
全てセルフサービスですが、お湯が入ったポットは持ってきてくれますし、冷やしておきたいものを預ければ、冷蔵庫に入れておいてくれます。
こんがりと日焼けした、いい感じのおばあちゃんが出迎えてくれて、庭先には落花生が干してありました。
去年は軒先に干し柿が吊るしてあったなぁ。
「明日はどちらへ登られるんですか?」
と聞かれて、
「いえ、帰るだけです」
と答えた私たちに、???な顔のおばあちゃん。
私たちも一瞬???となりましたが、ここに泊るたいていの人は、遠方から丹沢にやってくるからここに泊って、翌日早朝から歩き始めるのでしょう。
私たちのように、さか間に行きたいだけのよこしまな気持ちで泊まらないんでしょうね(笑)
さか間は17時からオープンなので、それまで「ちょっと飲もう」で、このありさま。
さか間で地酒シャワー
17時を待ちわびて、やってきました、さか間!!!
タブレットで順番受付ができるようになっていました。
平日でも開店前から何人か待っているぐらいのなので、予約した方がいいでしょう。
こだわりの蕎麦屋なのに、いつも蕎麦を食べずに飲んでばかりですみません。
お通しがステキ。
このお店の何が好きかって、店主選りすぐりの地酒が美味いんです。
店のメニューには「各種地酒」とかなんとかで、銘柄は書かれていません。
その時々で、各地で仕入れてきた地酒がありまして、好みを伝えればサッと出てきて、それがまた美味い!
酒飲みの心をくすぐるメニューがたくさんあったのですが、かなり減っていました。
それでも数々の美味しい肴があり、この味噌は特に気に入りました!
Nおじさんの指先に、美味い!の気持ちが込められています。
天ぷらに塩を振るにも、いちいち小芝居。
ナスの天ぷらを食す際には、
「いただきナス」
と、ぶっこみを忘れません。
急ピッチで乱れてきました。
この日はたまたま18時半営業終了だったので、駆け足で。
このお店には2023年から数回訪れていますが、私は「よく飲む人」として店主の記憶に残っていたそうです。
なんか恥ずかしい。
すっかりいい気分になって、大倉山の家に帰る道中。
何が撮りたかったのか、どんなポーズをしたかったのか、もはや意味不明。
酔っぱらっていることだけは分かります。
山小屋じゃないんだから灯りはついているのに、必ずヘッデンを出してしまう。
Nおじさんもビンディを購入し、その良さを絶賛していました。
写真奥のものが私のビンディですが、色違いではなくて、汚いだけです。
丹沢の夜明け。
のんびりしたいところですが、Nおじさんは交通安全週間の活動の一環として、なんか旗を振らなければならないらしく、夜明けとともにスクランブル発信です。
眠い感をMAXに演じてくれます。
ちゃんとやってくれますねー。
その眠そうな顔を一枚!と言ったら、わざわざ眼鏡を斜めにするという小技を見せてくれました。
基本情報
グレード:1級
歩いた距離:4.5㎞ 高低差:684m この時の所要時間:4時間36分(休憩含む)
小田急線新松田駅よりバスで大滝橋バス停まで約1時間
マイカーの場合、箒杉公園駐車場(Googleマップだと中川駐車場と表示される)が無料で10台程度駐車可能、トイレあり。
靴はラバーで問題なかった。