快晴の双六岳 天空の滑走路とかき氷と生ビールとケーキセットと

晴れた天空の滑走路に行きたいんだな

 
Nおじ
G-lightでテント泊をしたい

そんなNおじさんの希望から、今回の山行は双六岳となりました。

北アルプス双六岳は、山頂付近の特異な景色が「天空の滑走路」として知られており、人気の山のひとつです。
私も4回行っていますが、一度も晴れたことはありません。
周辺が晴れていても、なぜか双六の滑走路だけはガスっていて、打率0割で完封されていました。
せめて一度ぐらいは、晴れた滑走路を見てみたいものです。

新穂高の駐車場は激戦区

新穂高の駐車場は初めて行くと、どこに停めたらよいかよく分からないと思います。
観光客向けのクッソ高い駐車場、7時半から開く駐車場、土日しかやってない駐車場、登山者は停めちゃダメな駐車場・・・初見殺しです。
詳細は後ほどまとめますが、今回平日にもかかわらず、さんざんうろついた挙句停められたのは、ネット予約が必要で一日2,600円という、足元を凝視された駐車場でした。

足元を見るのは好きだけど、見られるのは嫌いなのよ!

当日予約が間に合って、停められました

料金は1台分で済ませたいので、ナシピコ号で。

車を降りると「さっむ!!!」と口走るような、空気の冷たさ。
歩き始めればすぐに暑くなると分かっているものの、寒いものは寒い。
しかしこの時、後にあれほど暑さに苦しめられるとは、思ってもみなかったのでした・・・。

わさび平小屋~鏡平山荘の生ビールまで

歩き始めて約1時間で、わさび平小屋へ到着。
まだまだ余裕で、トイレだけ寄っていきました。
びっくりするほどきれいなトイレ、200円也。

暑い時に、すごく美味しそうに見えるんですよね。
しかしトマト1個が300円とは、いくらなんでもお高いような気がしますが、どうなんでしょ。

林道は続くよ、どこまでも。

ということはなく、わさび平から20分程度で小池新道へ至ります。
極端な段差もなく、手厚く整備された道でした。
何度も歩いたはずなのに、沢の不整地やらヤブ漕ぎやらやっていると、同じ道を見ても全く違ったものに見えます。

ただ、ものすごく暑かった!!!
10月というのに、なんとも消耗する暑さだと思ったら、下界でも季節外れの記録的猛暑だったらしい。
秩父沢でバシャバシャやって、涼みました。
沢があれば、足を水につけて体内の熱を逃がすと、楽になりますよ!

 
Nおじ
なんで今までやってなかったんだろう
 

小池新道は、大変よく整備された、ひたすら歩きやすい道です。

わさび平小屋から汗だくで歩くこと3時間半、かき氷が名物の鏡平山荘に到着。
とにかく暑すぎて、生ビールの誘惑に勝てませんでした。

北里柴三郎を黄金色のシュワっとした液体に変えて、くぅ~っとやれば、もう言葉にならない。

かき氷の他に、軽食もあります。
ビールとカレーでエネルギーチャージしました。
水は料金箱に100円入れる、セルフ方式で売られています。

自販機のラインナップ。

双六小屋の生ビールを目指して

鏡平から弓折乗越までは、約1時間の道のりです。
もう暑いのなんのって、とても10月とは思えません。
数年前の10月中旬にここに来た時も、異常に暑かったことがありましたが、汗だくでたどり着いた双六小屋でビールが売り切れだった恨みは忘れることができません。

ビールとカレーでおなか一杯だと、登るのが辛いこと辛いこと・・・どうやらカレーは荷物になるようです。
途中でカレーに再開するんじゃないかと思いました。

弓折乗越を越えた後は、ゆるやかなアップダウンを繰り返す稜線歩きです。

めちゃめちゃくっきりとしたブロッケン現象。
二重に虹色の輪が出来ています。

双六小屋と鷲羽岳が見えてきた!
鷲羽を見ると、北アルプスに来たなぁという感じがします。

紅葉はまだ始まっていませんでしたが、やはり秋の雰囲気。
いいね~いいね~が止まらない。

小屋に着いたら、まずはビールですよね。
テントの受付?そんなのあとあと!!!

小屋前のベンチが混雑していたので、端っこの方でエバニューのマットを敷いて、地べたで乾杯。
鷲羽を見ながらの生ビール、最高だけど既に風が冷たくて、さっきまでの暑さは何だったのか?

登山道を歩いている時はクソ暑いけど、いざのんびりビールにしようとなれば風が吹いて寒いというのは、想定の範囲内です。

防寒着は忘れずに!

双六のテント場は、殺風景に思えて、あまりお気に入りではありません(個人的な感想です)。
今日は結構風が強くて、夜は冷え込みそうです。

G-lightを並べてテント泊

G-lightを並べて張るという目的は、果たされました。
緑のが私のG-lightです。
最近はタープ泊やハンモック泊が多くてあまり出番はありませんが、防水透湿のシングルウォールテントで、裏山からヒマラヤまで安心して使えるという、今ではもう手に入らない逸品です。
そんな優れた品を、何も知らなかった初心者の頃に、たまたま訪れた石井スポーツで購入した私はラッキーです。
Nおじさんはメルカリでゲットしたそうです。

テントで使う灯りは、たねほおずき。
使い込まれすぎて、何か別の物体のようになっています。
一応「ゆき」色だったはずなんですが・・・。

 
Nおじ
きったな!!!何そのほおずき!!!」

マグネットでクリップするタイプなので、色々な所につけられます。
Nおじさんのほおずきが妙にキレイなので不思議に思いましたが、先日沢の増水で流されてしまったそうで、新しく買い直したばかりだとか。

G-lightはテント内に灯りなどを吊るすループがないため、ベンチレーションの所を挟んで吊るしています。
こういう使い方ができるのが、マグネット式のいい所。

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ディナーは餃子からスタート。

Nおじさんは米を炊きます。

 
里美
米は液体でとる派です。

いい感じに炊けております。

全てを担ぎ上げて、自分で炊いた炊き立てご飯を食べられるなんて、いいですよね!

宴もたけなわ。
キムチやらビン入りのメンマやらふき味噌やら、7時間担いで持ってきました。

夕焼けがいい感じの様子ですが、飲み始めてしまったらもう動けない。
双六のテント場は周囲を山に囲まれていて見晴らしが悪く、夕焼けを眺めるにはイマイチの立地です。

へべれけになるまで飲んで、いつもの通りくだらない話に花が咲き乱れつつ、時にいい話もあり、

「おっ、Nさんいいこというじゃん!」

と思って忘れないようにLINEにメモしようとした次の瞬間、その記憶は、双六の風とともに去りぬ。
ただ、世の中は不条理と忖度でできている、ということについては、両者合意に達した模様です。

天空の滑走路へ

四度目の正直で、今日こそは好天の双六岳に登れそう!
前夜、3時起きの5時出発で約束しておきながら、寒くてシュラフから出たくなく、二度寝を決め込みましたが、ちゃんと夜明け前に出発できました。

ビンディで夜道を照らす。
これだけ明るくて、圧倒的な軽さとコンパクトさを誇るビンディを絶賛しながら、登ります。
登山をしない人でも、下手な懐中電灯を買うより断然ビンディの方が役立つことでしょう。

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小屋から高低差にして約250mを登りますが、背後には夜明けの光に浮かび上がる、北アルプスの稜線が。
何度も何度も振り返りながら、天空の滑走路を目指して歩きました。

これまで白くかすんだ滑走路しか見たことがなく、涙を飲んできた身にとって、初めての晴れた双六岳は、あまりに美しかった・・・。

冷たい風に吹かれながら、太陽のぬくもりを待ちわびるこの瞬間。

太陽の偉大さを、理屈抜きで感じる瞬間です。
人間の一生なんて、本当にはかなくて短くて、日頃のあれやこれやなんてどうでもよくて、生きていることって素晴らしいんだと、そう思えます。

バラ色の朝日に焼ける山肌が素晴らしい。
生きててよかったという思いが、何度も何度も胸の中にこだまのように響いてきて、目頭が熱くなります。
こんな景色、今まで何度も見てきたはずなのに、年なのかな。

360度どこを向いても、果てしなく歩いて行きたくなるような稜線が続いています。

槍から大キレットの稜線が、遠くから見るとこんなにギザギザなのに、一日で歩けるんだから人間の足って結構すごい。

ケーキセット、かき氷、ピビンパ

天空の滑走路を存分に楽しんだ後は、「けしからんセット」でティータイムです。
いや、紅茶は売り切れていたのでコーヒータイムか。
チョコレートケーキと、リンゴ&キャラメルみたいなケーキを注文しました。
セットで1,100円って、下界と遜色ないお手頃お値段では⁉
大変おいしゅうございました。

毎度のことながら、帰りたくない気持ちに打ちのめされつつ撤収します。
鷲羽が遠くに見えますが、再訪できるのは来年でしょうか。

シラタマノキって、かわいくて美味しそうで好きです。
実際、食べることもできて、サロンパスみたいな味がします。

と言うと、約30%の人は実際に食べてみますが、食べた人のうち100%が吐き出します(当社比)。

ちなみに私は味見したことはありません。

往路は暑さにやられて写真も撮らなかった、弓折乗越~双六小屋の稜線の一部。
Nおじさんは、こういう場所が嫌いです。
滑り落ちそうな気がしてイヤなんだそうな。
今日はロープもハーネスもないので、落ちても引き上げられないなぁ。

墜落荷重がかからないなら、細引きでなんとか引き上げられないか?
などと言っているうちに、あっという間に鏡平が見えてきました。
かき氷は何味にすべきか、それが問題だ。

結果、メロンといちごでクリスマスカラーとなりました。
所詮色だけで、味は全部同じやろ、という夢のないことを言ってはいけません。
酷暑の日差しの中、この冷たさは最高です。

とにかく暑いので、帰路も秩父沢でバシャバシャやったり水を補給したりします。

アザミに集う、名も知らぬ蝶とマルハナバチ(多分)。
マルハナちゃんは、相変わらずかわいいです。
蝶は、Google先生によれば、ウラナミシジミだとか。
画像から検索できるなんて、便利な世の中になりました。

これからやってくる過酷な冬を知ってか知らずか、咲く花も少なくなったこの時期に、わずかに残った花に蜜を求めてきています。
とにかく今を生きることに必死な姿が、なんとも愛おしい。

帰りのわさび平小屋でエネルギーチャージ。
ピビンパ丼、1,200円だったかな?
食ってばかりだ、この山行。

笠新道への入り口。
ここから笠ヶ岳山荘までは、コースタイムで7時間、標高差約1800m。

 
Nおじ
いやー、明日仕事じゃなかったら、今から登りたいんですけどねー、仕方ないなー
 
 
里美
絶対登る気ないよね

しかし客観的に数字で見てみると、中房から大天荘までと同じような所要時間と高低差でした。
なのに体感的な辛さは、圧倒的に笠新道の方が辛いのが不思議です。
終始雨に降られた上に、稜線で雷に遭って、鼻水とよだれたらしながら走った思い出による補正もあるかもしれません。

駐車場情報(鍋平方面を除く)

登山者用無料駐車場はスノーシェッド内に入口があります。
ここに停められるのが、一番よい。

第2駐車場。
盛期のみオープンで、1日1,200円。開設日は新穂高ロープウエイHPで確認。
1件ついているクチコミは、おそらく上記の無料駐車場と間違えて書き込まれているものと思われます。

このような感じで運営している駐車場のため、平日休みの私は、空いているのを見たことがありません。
最新かつ詳しい情報は、新穂高ロープウエイをご確認ください。

深山荘有料駐車場
わさび平方面にはここが最も近いですが、一泊2,600円という吐血しそうな金額の他、予約(ネットからのみ、電話不可)が必要。冬季閉鎖。
予約番号を書くための紙を自分で用意すること、クレジット払いのみ。